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第6回 糖質制限の危険性?

 >> 糖質制限、その後

糖質制限食については賛否両論あります。実際問題として言うなら政府の各部局や日本医師会などは糖質制限には危険性がある可能性が否定できないと言う表現ながら、特に美容や減量目的のダイエットには向かないと明言していますし、糖尿病を含めた生活習慣病の治療にはカロリー制限とPFCバランスの取れた食事を推奨しているようです。

一方、実際の現場に立っておられるお医者さまや研究者の方々の中には糖質制限食の有効性や、逆にカロリー制限食の危険性を訴える方も少なくありません。一体私たちは何を信じたらいいのでしょう。もちろん私は市井の一個人ですのでそれに答えを出せるはずもありませんが、それでも気になることがいくつもあるんです。

そもそも糖質制限に対する推奨と批判の議論がかみ合っていないということがその理由の一番に挙げられるでしょう。 そしてその責任はおそらく糖質制限否定派の側にあるんじゃないかと思います。

三大栄養素と言う言葉があります。たんぱく質(Protein)、脂肪(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)ですね、きっと皆さんお聞きになったことはあるでしょう。で、その摂取比率のことをPFCバランスとも言うのですが、このお話はまた後日。 さて、では糖質とは何でしょう。糖質とは炭水化物のうち、食物繊維以外の物のことを指して呼ぶ言葉です。糖と言う名前が付いていますが、でんぷんのように甘くないものも糖質に含まれます。

糖質制限推進派の方々は、この糖質を減らすことで健康に寄与しましょうと言うことを主張しておられます。一方、糖質制限反対派の皆さんは炭水化物の摂取量が減ると相対的に脂肪やたんぱく質の摂取量が増えて健康を損ねると言う論陣を張っておいでのようです。ここで大きなすれ違いがあるのにお気づきでしょうか。

こうした栄養素の摂取比率は一般にカロリーベースで計算します。単純な方法ですが、たんぱく質と炭水化物は1グラム当たり4kcal、脂肪は同じく9kcalとして計算することが多いようですね。さて、ここである比較をしてみましょう。わかりやすくするためにやや極端な比率の物を選びました。

まずは白ご飯、銀シャリです。旨いですよね。ごはん100グラムに含まれる炭水化物は37.1グラムです。そこで同じ量の炭水化物を野菜で摂るとどうなるか、例に持ってきたのはブロッコリーです。生の状態では食べにくいのでテフロンのフライパンで何も加えずに蒸し煮にすることで水分量を半分ぐらいにしてしまいましょう。このブロッコリー、どのくらい食べると炭水化物が37.1グラムになるかと言うと生の状態で713グラム、水分量を半分にしたとしても400グラム弱くらい必要になります。

同じ量の炭水化物を取るということを前提に、この二つに含まれる糖質の量を見てみましょう。ご飯の方はほとんど食物繊維が含まれていないので糖質の量は36.8グラム、ブロッコリの方は4倍くらいの重量を食べても5.7グラムです。

糖質がうんと少ないので糖質制限推進派の方も、炭水化物の摂取量が同じなので反対派の方も、ボリュームが多いので大喰いの方も、みなさん納得の数字ですよね。

なぜこんな単純なすれ違いが起こったのかと言うと、実はカロリーの出し方の問題なのです。炭水化物が4kcalと言うのは、実際に炭水化物に火をつけて燃やしたときに得られる熱量なのです。ですから実際に身体の中で4kcalとして働く糖質も、利用のされ方によって多くても2kcal、場合によっては0kcalの食物繊維もひっくるめて4kcalと計算してしまうのでおかしな現象が発生したと言うわけです。

そして、糖質制限反対派の皆さんは糖質制限に異を唱えながら、その根拠を炭水化物制限に求めていたから混乱が起こっているのです。こうしたことを踏まえつつ、それでも糖質制限だけでは厳しい現状があることを次章以降で考えたいと思います。

次章:糖質制限、その後

 
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改版内容日付
△0初版公開2013-10-27
△1改版リスト追記2013-11-18