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第8回 しきい値

 >> 減量

ドクターに、多少減量したけど効果がなかったようだとぼやいた私のセリフを受けて、ドクターはこう答えました。

「アジア人にはインスリン抵抗性と体重の関係にしきい値の存在が示唆されてるんですよね。」

なぜドクターがある種の専門用語であるしきい値と言う言葉を使われたのかは判りません。現在は自分で貿易関係の仕事をしている私ですが、大学は工学部の出身ですし以前にも書いた通り産業用電気機械を扱う会社に勤めて設計技師として働いていました。ですのでしきい値と言う言葉はとてもなじみのあるものだったのです。

しきい値、漢字で書くと閾値ですが、これは何かを区別する基準になる値のことを差します。私たちの生活の場において一番たくさんしきい値を利用しているのはパソコンの中身なのですが、これは大変複雑で説明も大変です。でも、とっても身近にある単純な回路もまたこのしきい値を用いて安定的な動作をしているんですよ。

それは夜になると点灯し、朝になると消灯する門灯や街灯です。昼間は消えている灯りが、夕方だんだん暗くなってきて一定の暗さになると点灯します。これは明るさを数値化したものが暗くなる方向でのしきい値を超えたから照明のスイッチが入ったということです。さらに時間が経って朝になると消灯しますね。これは明るくなる方向でしきい値を超えたということなのです。

ですからドクターが言った「体重とインスリン抵抗性の発現にはしきい値が存在する。」と言うことは次のようなことなのです。

例えば体重60kgの人のインスリン抵抗性が0、この人が体重80kgになった時のインスリン抵抗性が100だとします。この20kgの体重変化に対して、61kgの時5、62kgで10、70kgで50、75kgで75と言う風に比例関係などのように漸増してゆくのではなく、65kgでも68kgでも0、でも70kgでいきなり100になると言うようにある値を境にいきなりスイッチされるような関係をしきい値が存在すると言います。

再びたとえ話の街灯の話に戻りますが、昼間の明るさを100、夜の明るさを0とした場合、もしこの街灯のしきい値が明るさ50だったとするとどうなるでしょう。夕方と朝の二回、ちょうど点灯消灯するタイミングの前後で動作が不安定になるのです。ちょっと雲が掛かったり晴れたりすると、一度暗くなったのにちょっと明るさが戻ったりと言う時に灯りがちらちらとついたり消えたりします。これでは具合が悪いですね。ですので、点灯するときは明るさが30を下回ったら点灯、消灯するときは明るさが70を上回ったら消灯としておけば不安定さはなくなります。人間の体も常に安定を求めているので、きっとこうした関係が存在するのだろうと言う前提で考えをまとめてみようと思いました。

先にお話ししたようにインスリンが順調に分泌されているのに血糖コントロールが悪い、体重が増えてきているとなれば当然インスリン抵抗性の発現ということになります。さらにアジア人の特質として上に述べたような傾向があるのならば答えは簡単です。

私の体にはどのあたりの数値でインスリン抵抗性が発現/消滅するしきい値が設定されているのかを調べてみようじゃないかと思い立ちました。まずは減量です。目安としてもっとも病気にかかりにくいとされているBMI=22.0を目標値にして、第一弾は8週間後の受診日までに普通体重エリアとされるBMI=25.0以下に減らそうと決めました。

BMI(Body Mass Index)とは体重(kg)を身長(m)の二乗で割った指数で、18.5〜22.0〜25.0の範囲を普通体重として、22.0を標準体重と呼んでいます。BMI22.0は見た目イメージではややぽっちゃり目かも知れませんが、最も病気になりにくい値だと言われています。一部の調査では過体重(日本では肥満度I)であるBMI=25.0〜30.0のグループが最も長命だと言う調査結果も出ているようですが、少しだけ短命だが健康なのと病気を持ったままもっとも長生きなのとどっちが良いかと聞かれると、正直ビミョーです。(笑)

さて、私の身長は174cm、と言う事で

暫定目標:1.74×1.74×25≒75.7(kg)
到達目標:1.74×1.74×22≒66.6(kg)

になります。さてさて、無事に減量できるでしょうか。

次章:減量

 
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改版内容日付
△0初版公開2013-10-28
△1改版リスト追記2013-11-18