第16回　補填と削減

私たちの意識の奥底には何かが足りないから病気になったと言う感覚が根強く残っています。もちろんそれは戦時中や終戦直後の栄養失調時代を過ごされた方々からの意識の伝承が大きいのでしょう。しかし一方でもっと長い歴史、漢方医学の足りない物を補うと言う治療法の影響も少なからずあると思います。

その一つの証拠が「薬を出さない医者は評判が悪い」という現象に表れていると思います。もちろん皆が皆、医者に薬の処方を要求するわけじゃないでしょうが、体調の不調を訴えて医師の診断を受けた際に、カウンセリングだけで処方箋をもらえなかったら物足りなさを感じる人は少なくないでしょう。

さて、そこで2型糖尿病について考えてみました。私自身は糖尿の治療と言うのは減らして治すと考えた方が良い、ある意味例外的な病気なのだろうと考えます。

例えば風邪をひいた時、消化が良くて暖かい物を食べると言うのは、風邪の症状によって消化管の機能が低下している事が原因で栄養の吸収が足りなくなることを補い、吸収しやすい形で栄養を補給しようということが目的にあります。

このような漠然とした物ではなくても、多くの病気では何かが不足している、あるいは追加的な治療薬が要求されるのでしょう。ですからお医者様にかかると、投薬という形でなんらかの補填がなされるのです。

一方、糖尿病で不足するのはインスリンとその受容体です。つまり体内で作られるたんぱく質ですから、外から何かを取り込む必要はありません。強いて言えばその原料となるたんぱく質ですが、食事を摂っていればたとえそれが減量食や制限食であってもホルモンと言う少量で間に合う分泌物であるインスリンの原料になる程度は充分に摂れるはずです。

世の中には糖尿病患者を相手にしたビジネスが非常に多いので、上手く利用すれば糖尿病患者も生活の質を落とさずに治療に専念できるのでしょうが、一方で「これを飲めばいい」「これを食べればいい」的な煽り文句、あるいはちょっと持って回って「実はこれが足りなかったんです」と言った宣伝には注意が必要です。

実際、なんらかの補填が必要であれば医師が投薬の形で行います。それがないと言うことは患者自身が行う「何かを身体に入れることを減らす」ことがきちんとできてないと言うことですね。なのに宣伝に乗せられて「これが足りない」「あれが足りない」と高価な栄養食品に手を出して回るのは良くありません。

極端な話、医者が処方する経口血糖降下薬だって、錠剤の形に固めるためには有効性分以外のつなぎが入っているはずです。もしかするとそれは1グラムのでんぷんかもしれませんね。そうなら4kcalの熱量がありますし、微量ながら血糖値を上げる要素でもあります。ですから本来糖尿病患者は口に入れる物を減らす方向で考える方が好ましいのです。

薬や健康食品でカロリーや糖質を摂るくらいなら、その分を摂らずに治療に寄与させるか、あるいは同じカロリーや糖質の美味しい物を食べた方がお得だと考えます。

置き換えダイエットは良いでしょう。あるいは減食を行って体重を減らす際のビタミンやミネラル不足を補うサプリだって許容範囲です。でも、私はビタミン・ミネラルのサプリは摂りますが置き換えダイエット的な置き換え食品は市販の安価な物を利用して自分で組み換えを行います。その方が安くて自分の好みに合う物が口に入れられるからです。

例えば、午後のお茶の時間などちょっと口寂しい時や小腹が減った時にお茶やコーヒーと一緒に頂く焼き菓子を自分で作っています。クッキーやビスケットのような美味しい物ではありません。それは私のセンスが悪いのであって工夫次第でいくらでも美味しくできるでしょうが50代のおっさんが片手間に自作するのですからこんな程度で充分だと思っています。

作り方は至って簡単で、材料をビニール袋に入れて良く捏ね、8等分して適当な形に薄く延ばしてアルミホイルに並べ、上からもアルミホイルを掛けてオーブントースターで35分焼くだけです。焼き上がったら使ったアルミホイルを8枚に切り分けてくるんでおけば10日ぐらいは日持ちします。

材料は以下の通りです。

• おからパウダー：65g
• サイリウムハスク：15g
• 甘さ3倍タイプのゼロカロリー甘味料：40g
• シナモンパウダー：3g
• たまご：1個(殻ごと測って60g〜65g)
• オリーブオイル：小さじ2
• 水：大さじ2

こうした簡単な置き換え食品なら料理なんてとんでもないって感じの人でも作れますし、何と言っても安価で正体が知れていると言うのが魅力ですね。

次章：メタボリックシンドローム

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改版	内容	日付
△0	初版公開	2013-11-10
△1	改版リスト追記	2013-11-18

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