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第22回 血糖値を上げるのは本当に糖質だけ?

 >> 今回の受診結果


糖質制限の可否については世間が喧しいところではありますが、私個人として実践してみた感想はかなり効果が高く副作用の少ない優れたダイエット(食事療法)だと思います。ただし、それ単体では割合早い段階で限界点が見えてくるんじゃないかとも感じます。

それは壊れたメカニズムとしての糖尿病患者に対してはおそらく最も有効な修理方法であるものの、病を患った人間としての糖尿病患者を治療する方法としては唯一でも最善でもないと言うことだと考えるからです。

もちろんそのことは薬物療法でもカロリー制限でも同じことが言えるわけですが、どれかに傾注することで治してしまえると考えるのはやはり早計にすぎると言うものでしょう。

糖尿病患者にとって利用することの多い人工甘味料ですが、いくつもの種類を組み合わせて使用されることが多いのはゼロカロリー飲料や食品の成分表を見ればお気づきのことと思います。カロリーや糖質に関して考えればどれかひとつに絞ったほうが手間も原価も少なくて済むのに、なぜそれを行わないのか。高甘味度甘味料は少量で甘さが強いので量の調節が微妙になりすぎるということもありますが、それ以前に高甘味度甘味料は苦みやエグ味など悪い味の成分が前面に出ることがあるんですね。ところが複数の甘味料を組み合わせるとその悪い味が消えて砂糖の甘みに近くなると言う現象があります。

マスキング効果と呼ばれていますが、食事療法にもこれに近い部分があるのかもしれません。糖質を制限する、カロリーを絞る、運動を一所懸命にやる、どれかに傾注しすぎるとストレスになって結局続かず元の木阿弥。それぐらいならそれらをうまく組み合わせて「気分転換」してやるのが長続き、ひいては長生きのコツになるでしょう。

その時の中心に据えるのが糖質制限ということがベストなんじゃないかと思います。

少し前置きが長くなりました。今回の本題に入りましょう。タイトルの通り、食べることで血糖値を上げるのは糖質だけであるということはもはや常識のようになっています。確かに食べたものが消化吸収されるプロセスに於いて血糖値を上げると言う意味ではその通りで間違いないのだろうとは思いますが、ではワンクッション置いた場合はどうなんだろうと言う疑問を持っています。

これからお話しする現象は、私個人の経験でしかありませんので、何らかの理論的な裏付けや別の人において同条件で実験した場合の再現性を確認したわけではありません。ただ、私自身の中でははっきり再現性のある傾向なので、何らかの働きで糖質以外のものが血糖値を押し上げている可能性と言うものを排除できないのです。

それは牛肉なのです。しかもホルモンより精肉、精肉の中でもロースより三枚肉の方にその傾向が強いので主に牛肉の脂質部分に何かの原因があるのではないかと思っています。

牛肉と言っても糖質制限をしている関係上、ほとんど焼肉やたれ味のものは食べません。基本的にステーキか塩コショウのみでのソテー、蒸し物です。つまり調味料からの糖質やカロリーを意識する必要のない調理法で食べているにもかかわらず、食べた翌朝の空腹時血糖が有意に上昇しているのです。食べた量やほかの条件にもよるのでしょうが、だいたい普段より20〜30mg/dl高めの数値が出ます。現在私の血糖値はかなり安定してきていて、普段は80〜120mg/dlなのですが、高い時は150mg/dlと言う数字が出ることもあります。

これは夕食で牛肉を食べた翌朝には必ずと言っていいほど発生する現象なのです。原因は判りません。食後血糖は2時間値で食前の値に近いところまで落ち着くのですが、そのあと寝ている間に血糖値が上がるようです。

このことから、消化吸収のプロセスではなく、そのあとに起こる体内での代謝の中で何かが起こっているのでしょうね。実際問題としては私自身がその傾向を掴んでいるので、牛肉は「ハレの日」にしか食べない(笑)とか、食べる量を調整するとかで対応することで実害は少なくなってると思います。食費も安くなりますしね。

豚や鶏、魚などの動物性の食品ではこの現象は起こりません。バターや牛乳などの牛由来の食品でも起こりません。純粋に牛肉にだけ反応するようです。こうしたことは他の食品でも起こりうることですが、恐らくは個人差が大きいのではないかと考えています。そこで重要になってくるのが自分の体の癖を知ることですね。

私はこの血糖自己測定器で毎日空腹時血糖値を測定しています。もしその中で異常な値が計測されたら注意して他の時間帯にも測るようにしています。その結果現れてきたのがこの「謎の牛肉対血糖値現象」なのです。

そのおかげで原因は判らなくても対策は講じられるようになりました。結果として血糖値を低いままに抑えておければOKなわけですからこれで良いと思います。

残念なことに薬事法のせいで現在は国内通販で測定器やテストストリップを購入することができません。海外からの個人輸入の形でいろいろ探して使っている状態です。

それでも、検索すれば調剤薬局などで取り扱っているお店もあるようですから、お近くにそうした薬局があった場合は出向いて相談されるのも良いのではないかと思います。私はそうした規制ができる前に本体を購入したので、本体の購入に手間はかかりませんでしたが、テストストリップの入手にはいつもネットでの個人輸入と言う方法を取っています。

次章:今回の受診結果

 
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改版内容日付
△0初版公開2013-12-18