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第30回 食物繊維のカロリー
>> 2014年2月の受診結果食餌療法としてのダイエットに興味がある人には常識だとは思いますが、そうでない人は意外とご存じないんじゃないかと言う情報です。
まずは糖分や脂肪の吸収を抑えると言うトクホ健康食品の粉末について、栄養成分表を見てみましょう。
画像はクリックで別窓にちょっとだけ拡大表示します。

これが30本入って定価は1,890円(税込)。結構高いですね。
で、見てみると有効成分は難消化性デキストリンと言う食物繊維であることが判ります。最近ではトクホのコーラなどにも配合されているので有名ですね。
でも、せっかくのトクホなのに成分表を見ると糖質が含まれているようです。難消化性デキストリンはでんぷんから生成しますから、ある程度残っちゃうんでしょうね。この製品はトウモロコシが原料ですが、小麦やジャガイモのでんぷんを原料にしたものもよく見かけます。
で、よく見てほしいのがカロリーです。
6グラムで7kcal、食品表示でよく使われる100gあたりの表示にすると117kcal/100gくらいになりますね。決して少ないとは言い難いカロリーです。これは水分をほとんど持たない粉末なので単純に比較はしにくいのですが、例えばふかし芋にしたサツマイモで131kcal/100g、ジャガイモで84kcal/100gであることを考えると、思わず数値を見直したくなります。
さて、糖質のカロリーは良く使われるアトウォーターのエネルギー換算計数によると4kcal/gです。この製品はばらつきが大きいようで1包あたり0.1〜0.8gの糖質が含まれていると書いてありますね。0.1gだったら0.4kcal、0.8gだったら3.2kcalということになるわけですが・・・このばらつきを無視して、ブッ込みで7kcal/包とやっちゃうのも凄いと思います。それでも糖質からのカロリーだけでは7kcalに届かないのは明白です。
残りの糖質からだけでは不足するカロリーはいったいどこから来たのでしょうね。実はそれが食物繊維の持っているカロリーなのです。
食物繊維にはカロリーがある。これって意外と知られていないようです。もう数値が設定されて10年近くになると言うのに、怪しげなローカロリー食品の宣伝のせいで食物繊維にはカロリーがないと思い込まされている人が大変多いように思います。
もちろんカロリーのない食物繊維素材もあります。たとえば寒天とかサイリウムハスクなどがそうですね。一方で糖質の半分ぐらい、つまり2kcal/gのカロリーを持つものには、こんにゃくでおなじみのグルコマンナンなどがあります。グルコマンナンは水溶性食物繊維で、こんにゃく製品になった後はアルカリ処理の影響で水には溶けなくなっていますが、それでも2kcal/gのカロリーは残したままなのです。
ただ、こんにゃく製品自体は97%までが水だから非常に低カロリーであることは疑いようのない事実ではあります。
三大栄養素とはたんぱく質・脂質・炭水化物。このうち炭水化物だけが様々なカロリーバリエーションを持っています。せっかくの機会だからここに紹介しておきましょう。健康と体重を考える時の参考にでもしてもらえるとうれしいですね。
炭水化物のカロリー
エチルアルコール 7kcal/g
消化性糖質 4kcal/g
糖類全般、消化性でんぷんなど
有機酸 3kcal/g
酢酸、クエン酸、酒石酸など
第1群 難消化性糖質 3kcal/g
キシリトール、ソルビトール、マルトテトライトール、テアンデオリゴ糖
第2群 難消化性糖質 2kcal/g
マルチトール、イソマルチトール、マンニトール、マルトトリイトール、ラクチトール、
フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ケンチオオリゴ糖、ラフィノース、ソルボース、
ガラクトシルスクロース、ガラクトシルラクトース、スタキオース、ラクチュロ−ス、
サイクロデキストリン(シクロデキストリン / 環状オリゴ糖)など
発酵性食物繊維 2kcal/g
(主に水溶性食物繊維)
第1群 食物繊維素材 2kcal/g
グァーガム、グァー豆加水分解物、小麦胚芽、タマリンドシードガム、プルラン、
水溶性大豆食物繊維、湿熱処理澱粉(レジスタントスターチ)
第2群 食物繊維素材 1kcal/g
難消化性デキストリン、アラビアガム、ビート繊維
難発酵性食物繊維 0〜1kcal/g
(主に不溶性食物繊維)
第3群 食物繊維素材 0kcal/g
寒天、キサンタンガム、サイリウムハスク、セルロース、ジェランガム、ポリデキストロース、
低分子化アルギン酸ナトリウム
第3群 難消化性糖質 0kcal/g
エリスリトール、スクラロース
なお、この基準は日本の栄養表示基準によるもので、たとえばEUなどは非常にざっくりと糖アルコールはすべからく2.4kcal/gと表示すべしなんてやっちゃってます。これじゃカロリーウォッチャーたちが困っちゃいますよね。
それと肝心の血糖値への影響について、かなり大ざっぱな表現ですが、カロリーの有無とは関係なく食物繊維についてはほぼ血糖値に影響しません。と言うのも、食物繊維は大腸まで行ってはじめて腸内細菌により発酵されて短鎖脂肪酸を産生し、それが栄養としてカウントされるわけです、つまり口に入れた時は炭水化物ですが栄養になる時は脂質ってことですからカロリーにはなっても血糖値は上げないってことになるわけです。
一方、難消化性糖質に含まれる糖アルコール(キシリトールやマルチトールなど)の場合は、食物繊維と同じ機序で大腸で発酵する部分もありますが、ある程度は小腸で糖質として吸収されるため、普通の砂糖などの糖質を摂った時の半分程度の血糖値上昇を引き起こすと言われています。
例外はエリスリトールだけで、これは小腸でほとんど吸収される代わりに、代謝されず尿に直行してしまうためカロリーもなければ血糖値への影響もありません。
もう一つの第3群難消化性糖質のスクラロースは蔗糖(普通の砂糖)を出発原料とする合成甘味料で血糖値には影響がありませんし、そもそも砂糖の600倍と言う甘さを持っているので、仮に砂糖と同じだけ血糖上昇効果があったとしても非常に微量しか使わないため血糖値には全く影響しないのです。
次章:2014年2月の受診結果
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改版 | 内容 | 日付 |
△0 | 初版公開 | 2014-02-13 |