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第42回 低血糖発現

 >> 人工甘味料と糖尿病リスク


一か月余りのご無沙汰でした。さて、この一か月の間にお取引先の中国人社長さんが来日され、うちの仕事とは直接関係ないご訪問だったのですが昼食をご一緒する機会がありました。

ご想像はつくと思いますが、日本で食べる中華料理はかなり糖質が多いうえ、中国人社長が相手だと酒食を控えることが困難な宴席になるのは経験上よく知っているので、経口血糖降下剤を準備して宴席に臨みました。

準備した薬はグルベス(c)でした。インスリンの分泌を促進する薬と糖質の吸収を阻害する薬を合わせたお便利ツールです。即効性があるので食事を始めると同時に飲んだ方がいいとまで言われています。

割合高級な中華料理屋さんでおいしい食事をいただき、恐れていた通り地獄の白酒での乾杯もありましたが、おおむね和やかに楽しくおいしく食事を頂けました。白酒(パイジュォ)というのは中国焼酎で、小さなグラスとはいえアルコール度数50〜60%のものをストレートで一気飲みするとんでもない代物です。

二時間余りの宴会の後、私は自分の会社に帰り一息ついていたのですが、酔いが醒めるころ、突然大量の発汗。エアコンは十分効いていたので、これは危ないと思い、冷蔵庫から缶コーヒーとチョコレートを出してちびちび食べ始めました。幸い小一時間で症状は治まりましたが、その段階で血糖値を測ったところ65mg/dLでした。症状が出た時には結構下がっていたのでしょう。

その後さらに二時間が経過したときには90mg/dLまで回復しました。そもそもグルベスのインスリン分泌促進効果は2〜3時間しか持たないはずなのでもう一安心です。

冷汗は低血糖症状の典型的なもので、震えや動悸がこなくてもいい判断材料になります。いつもならこの薬は大量の糖質摂取を伴う食事をする必要性に迫られた時にだけ飲むので低血糖症状に見舞われることはないのですが、やはりアルコールの摂取が悪かったようです。アルコールを摂取すると肝臓での糖新生が間に合わなくなることがあるようです。それに高級な料理屋さんだったので、思ったよりでんぷんや砂糖の使用量が控えられていたのかもしれませんね。

高血糖はじわじわ人を壊しますが、低血糖はいきなり死に結びつくこともある危険な症状で、また糖尿病患者にとっては逃げられない宿命とでもいうべき症状でもあります。内容をよく知って対処すれば恐れることはないのですが、やはりあんまり気分のいいものではありません。できるだけ薬を使わなくてもいいような食生活を心がけたいものです。

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改版内容日付
△0初版公開2014-09-03